
プロンプトとは?初心者でもわかる基礎から実践まで

多くの方がChatGPTなどのAIを使い始めていますが、より効果的に活用するためのコツをご存知でしょうか。
本記事では、AIとの対話を円滑にする「プロンプト」について、大事なテクニック2つをわかりやすく解説します。
プロンプトの基礎知識
プロンプトとは
プロンプトとは、AIに対して行う指示や質問のことを指します。
例えば、「今日の天気を教えて」という簡単な質問も、「日本の人口に関する資料の作成をして」という依頼も、すべてプロンプトと呼ばれます。
人間同士の会話と同じように、プロンプト(指示や質問)を明確に伝えることで、AIからより適切な回答を得ることができます。


なぜプロンプトが重要なのか
AIは非常に優秀ですが、人間の意図を完璧に理解できるわけではありません。
効果的なプロンプト(指示や質問)を書くことで以下が期待されるようになります。
・より正確な回答を得られる
・時間を節約できる
・AIの能力を最大限に活用できる
これはAIに限らず人でも同じことが言えます。
例えば上司からの指示が曖昧だと部下はどのような作業をすれば良いのか判断に困ります。
そして、部下は上司の期待する結果を示すことができない可能性が高くなります。
また指示や質問が曖昧すぎると、その意図を確認するために何度も無駄なコミュニケーションが発生し得るでしょう。
人同士のコミュニケーションで明確な指示を出すことで精度の高い結果を得たり、無駄な確認作業を減らせるのと同じで、AIもプロンプト(指示や質問)が大切と言えます。
効果的なプロンプトの書き方
では具体的にどのようなプロンプトが良いのでしょうか。
ここでは、効果的なプロンプトを作成するための2つの重要なポイントを説明します。
この2つを押さえるだけでも、AIとの対話の質は大きく向上します。
- AIへの役割設定
- 段階的なアプローチ(会話)
それでは一緒に確認していきましょう。
ポイント1 AIへの役割設定
AIに適切な役割を与えることで、より質の高い回答を得られます。
まずは役割の有無の差を具体例の動画で確認しましょう。
具体例1
まずは磁石について説明を求める場面設定で確認しましょう。
役割設定なし
「小学校の教師」という役割設定あり
役割設定がないと一般的な内容のようですが、「小学校の教師」という役割を設定した方は内容が子ども向けになっており、また実験の内容まで記載されていることがわかります。
具体例2
続いては、青森について説明を求める場面設定です。
役割設定なし
「マーケティングの専門家」という役割設定あり
こちらも役割設定無しだと一般的な内容となっていますが、「マーケティングの専門家」を設定することで、マーケティングの内容が記載されるようになりました。
これらのように役割をAIに与えることで回答が全体的(抽象的)な内容から具体的な内容へと変化していることがわかります。
言い方を変えると「AIの回答の選択肢を狭めている」と言えます。
これによりAIから期待する回答を得る可能性が高くなります。
以上のことから、役割を最初に与えることはプロンプトに置いて重要なポイントになります。
そのほかの役割設定の良い例を示します。
- 料理人として
- 投資アドバイザーとして
- 歴史研究者として
役割設定の注意点
役割を設定する際には以下の点に注意が必要です。
- 役割は具体的すぎない方が良い場合もある
- 複数の役割を組み合わせすぎない
この理由について、少し難しいのですが解説していきます。
【具体的すぎる役割設定を避ける】
AIは役割を与えられた際に、どの情報が重要か判断することになります。
役割が具体的すぎるとAIはどの役割が重要なのか判断に迷ってしまい、結果として期待する回答をしなくなってしまいます。
例えば「東北在住の2年目の国語担当の新人小学校教師として」の設定だと、「東北在住」「2年目」「国語担当」「新人」「小学校教師」の設定が存在することになり、AIはどの情報が重要なのか判断に困ってしまいます。
この場合、設定されるべき役割の本質は「小学校教師」になると思われるので、他の役割情報は不要だと言えます。
【複数の役割を設定することを避ける】
例えば「経営コンサルタントであり、プログラマーであり、心理カウンセラーとして」と設定をすると、AIはどの役割が重要なのか判断することが難しくなり、一貫した回答や具体的な回答をすることができなくなります。
また極端な例として「犯罪者であり、警察であり、被害者です」(実際にはあり得ない設定だと思いますが)を設定すると、AIは矛盾した回答をする可能性が出てきます。
AIに役割を与える際は、これらのことに注意しましょう。
ポイント2 段階的なアプローチ(会話)
プロンプトのコツとして「最初は全体的な情報(抽象的な情報)を与え、徐々に具体的な情報を与える」ことがあげられます。
つまり「AIとの会話」を意識するということです。
冒頭で具体的なプロンプトを与えることの重要性を述べましたが、いきなり具体的な内容を考えるのが難しい場合もあるかと思われます。
またAIも全体像を把握できていた方が文脈を理解し、回答の方向性を徐々に狭めることができます。
段階的なアプローチ(会話)には以下のような利点があります。
・AIが文脈を十分に理解できる
・自分の要望を整理しながら進められる
・途中で方向性の修正が可能
・各ステップでの回答を基に、より良い質問ができる
それでは効果的な会話の具体例を見ていきましょう。
具体例では以下の流れでプロンプトをAIに与えています。
- 「英語力を向上させたいと考えています」(全体像の共有)
- 「特にビジネスでの会話力を伸ばしたいです」(具体的な目的の明確化)
- 「週5時間の学習時間で、3ヶ月での上達方法を教えてください」(詳細な条件の提示)
このようにAIとの会話の中で聞きたいことを徐々に具体化していくと、AIはプロンプト(指示や質問)を理解しやすくなり、期待する回答してくれるようになります。
一方で上記の内容を全部盛り込んだ下記のようなプロンプトは良くないです。
「英語力を向上させたいので、ビジネス会話に特化した、忙しい社会人向けの、3ヶ月で成果が出る、リーズナブルな学習方法を教えてください。オンラインでできて、スマホで学習できて、通勤時間も活用できるものが良いです」
このように一度に多くの条件を提示すると
- AIが優先順位を判断できない
- 重要な条件が埋もれてしまう
- 細かい要望に対する回答が不十分になる
というようなデメリットが生じる可能性が高くなります。
人も一度に具体的な内容を含んだ指示や質問を一度に理解することは難しいですよね。
AIとの会話を通じて具体的な内容に焦点を絞っていくことは非常に重要です。
また副次的な効果ではありますが、AIとの会話をすることで自分が何を行いたいのか明確になっていくことも期待できます。
2つのポイントを混ぜた具体例
最後に役割設定と段階的アプローチ(会話)を意識したプロンプトの例を見ていきましょう。
プロンプトの設定と流れは以下のようになっています。
対話の流れは以下のようになっています。
0. テーマ設定:「地域の課題の解決策について」
1. 役割設定:「地域社会学の研究者として」
2. 全体像の共有:「地方の課題について教えて下さい」
3. 課題の焦点化:「若者の流出について具体的に教えて下さい」
4. 具体的な依頼:「5年以内で若者の流出率を今よりも30%改善したいです。そのための具体的な計画を教えて下さい」
いかがでしょうか。
AIに役割を与え、AIとの会話をする中で段階的に具体的なプロンプトを与えていった結果、最終的に「若者の流出を改善する5ヵ年計画」の簡単な案まで回答してくれるようになりました。
まとめ
AIから精度の高い回答を得るための2つの重要なプロンプトのポイントを紹介しました。
【AIへの役割設定】
具体的な回答を引き出すための効果的な手法
ただし、具体的すぎる役割や複数の役割設定は避ける
【段階的なアプローチ(会話)】
AIに文脈を理解させやすくなる
自分の考えも整理しやすくなる
これらのテクニックは、一見シンプルですが非常に効果的です。
最初は完璧でなくても構いません。実践しながら徐々に使いこなしていくことで、AIとの対話がより充実したものになっていくでしょう。
今日覚えたテクニックを早速実践してみましょう!